2010年3月5日金曜日

伊東乾 東大式 絶対情報学

2006 株式会社講談社

1965年生まれ

2003年から、高等学校に「情報」が必須科目として導入された。
東京大学でも、2006年から「情報」が、全学共通の必須科目となり、著者はその講義を受け持つことになった。
音楽家でもある著者によると、情報の達人になるためのテクニックは、オーケストラの指揮者のそれと共通する。
「速読」「プレゼンテーション」「アプリシエーション」「ディベート」など、旧制高等学校に由来する「リベラルアーツの身体技法」を21世紀の情報科学、認知脳科学の知見を活用して分解・再構成した上で、音感教育のメソッドを活用して、初心者でも「IT知」の技法を身につけられるように工夫したのが本書であるとのこと。
今日のネットワーク環境では膨大な量の情報が高速で渦巻いている。
このような環境のなかで、「知の技法」は、手と目と脳をすばやく動かさなければならず、脳の働きは、交響楽団の指揮者のそれに似ている。
本書では、さまざまな知的トレーニングが紹介されており、このようなトレーニングを受けている学生は、そうでない学生と比較して格段に情報処理のセンスが違うことであろう。
「セルフ・マインド・コントロール」の習慣を身につけることが大切であるという章では著者の親友で素粒子理論の専門に進んだ豊田享という人物がオーム真理教の地下鉄サリン事件の実行犯として逮捕されたことが書かれている。
著者は、メディア・マインド・コントロールの恐ろしさに立ち会った証人の一人として、学生に伝えなければならないという気持で、毎日教壇に立っている。

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