2018年6月18日月曜日

リスクを取らないリスク 堀古英司

2014 株式会社クロスメディア・パブリッシング

資本主義社会では、人間の金に対する欲望は正当なものであると認められている。
株式会社という仕組みでは、一儲けしてやろうという起業家に、投資家が出費する。
投資家は株主になるが、場合によっては金が戻ってこないというリスクを負う。
リスクという考え方は、資本主義経済では、あらゆる場面でみられる。
銀行は、融資先が倒産するリスクを負う対価として金利を受け取る。
生命保険会社は人の死亡というリスクに、損害保険会社は事故による損害というリスクを前提にしている。
リスクを取って起業する人や、投資する人があらわれることによって、技術革新や新しい需要が生まれる。
その結果、経済が成長し、資本主義経済は発展してきた。
現代の日本における様々な経済問題も、もし経済が成長すれば解決される。
経済を成長させるのは、リスクテイカーとしての起業家や投資家である。
皆がリスクを取らず、額に汗して働いたところで、経済が成長しなければ、真綿で首を絞められるように負担が増えていくだけである。
いくら金融緩和をしても、投資が無ければ経済は成長しない。
だから、リスクを取ってチャレンジした人には、高い報酬が与えられるのが当然である。
ただし、競争は熾烈で、誰もが成功できるわけではない。
成功するのは、ほんの一握りの人たちだけである。
スポーツの世界では、オリンピックに出るような人たちにだけ、ご褒美が与えられる。
このように、いくら頑張ってもダメな人のほうが圧倒的に多くなる。
現在、格差が問題になっているが、将来の日本はさらに格差が広がっていく。
給料は、国際競争にさらされているので、上がりそうにない。
年金制度も、ゼロ金利の状況では、破綻するかもしれない。
このように、リスクを取るまいと思ってもそうはいかない。
それならば、むしろリスクについて十分に研究し、リスクを取っていかなければならない。
リスクを取るには、アメリカ株が一番というのが、ファンドマネジャーである著者の言い分である。