2009年6月17日水曜日

志賀浩二 数と量の出会い 数学入門

志賀浩二 数と量の出会い 数学入門
大人のための数学 1巻 
2007 株式会社紀伊国屋書店

数にも歴史がある。紀元前3500年頃、古代メソポタミアでは数学が誕生していたようである。古代メソポタミアでは60進法が使われていた。60進法は不便だったろうと思われるかもしれないが、なぜ60進法が用いられたのだろうか。10をわりきる数は2と5だけであるが、60をわりきる数は、2,3,4,5,6,10,12,15,20,30である。わりきれる数が多いと使いやすいことも多い。実際、現代でも1分は60秒、1時間は60分である。角度を1周360°と決めたのもバビロニアからである。(バビロニアでは1年360日であった。)

いま私たちが使っている数字1,2,3,4,5,6,7,8,9は古代インドにその原形がある。インドから8世紀頃アラビアに伝わり、13世紀頃からヨーロッパでもしだいに使われるようになった。0は、古代インドで5世紀頃から用いられていたようである。小数は17世紀初頭に対数表を作成するときに使われるようになったという。分数は歴史は古いが、現代では学校で習うだけで社会から消えてしまったという。私は、なるほど電卓の普及で分数が使われなくなったのかと思ったら、そうではなく分数のばあい、数の大小がすぐにわからないため不便であるからだという。現在では2進法で表わされる数がコンピューターのなかを走り回っている。2進法を最初に考えたのは、ライプニッツである。
以上、本書による。

現在ではA,B,C,D,E,Fも数である。コンピューターが使われるようになってから、16進法が登場した。16進法のAは10進法の10であり、Fは10進法の15である。
私などは、60という数字から還暦を連想する。還暦とは、60年で生まれた年の干支(えと)に還るからいう。十二支と十干を組み合わせて用いたのである。名前はややこしいが、10と12の最小公倍数が60であることによる。
私たちの生活は、特に意識しないところで古代からの正や負の遺産を受け継いでいるものだ。

1 件のコメント:

  1. 分数がほとんど使われていないというのは、正確ではない。
    日常生活では、あまり使われていないが、法律の世界では、頻繁に出てくる。たとえば、相続人が配偶者と子供であったばあい、配偶者の相続分が2分の1、子供の相続分が2分の1など。

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