2009年6月7日日曜日

グリーンスパンの正体 2つのバブルを生み出した男

ウイリアム・A・フレッケンシュライン、フレデリック・シーハン 
グリーンスパンの正体 2つのバブルを生み出した男
2008 北村慶 監訳 鈴木南日子 訳 株式会社エクスナレッジ

グリーンスパンと言えば今回の金融危機について「百年に一度の危機」という言葉を使ったのは有名である。その彼が議会に呼ばれて証言している姿は、ただおろおろするだけの一人の老人にしか見えなかった記憶がある。

今回の金融危機の原因が不動産バブルいいかえれば借金バブルの破裂であることは間違いない。筆者はそのすべての元凶としてFRB議長であったグリーンスパンを攻撃している。はたして、そこまで一人の人間の判断ミスのせいにできるのか。アメリカ大統領といい、FRB議長といい、そこまでの権限が一人の人間に集中しているのだろうか。不動産バブルがあまりにも膨れ上がりすぎていたことに気がつかなかったし対処もしようとしなかったのだろうか。デリバティブやヘッジファンドにたいする規制もしようとしなかったのもバブルを助長したのだろう。在任中は神様とまで言われ、退任してから攻撃される。はたして無能であったのであろうか。本書に述べられているように2007年にはすでにサブプライムローンの破たんが表面化していたのである。そのころすでに一人の人間の手には負えなくなっていたとしか考えられない。いずれ、この危機もおさまり景気も回復してくるかもしれないが、我々はよりいっそう不確実な時代を生きなければならない。

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