2012年7月30日月曜日

加藤英明 岡田克彦 人生に失敗する18の錯覚


2010 株式会社講談社


社会的地位のある人が、女性のスカートの中を盗撮して捕まるという事件が、たまに起きている。
どうして、立派で頭もよいはずの大人が、そのようなばかげた事件を起こしてしまうのだろうか。
経済学的な言い方をすれば、そのような行為をする人にとっては、そこから得られる「効用」はきわめて大きい。
おそらく、そういう行為をする人は、過去に何度も同様の行為をしていたが、発覚しなかっただけである。それによって、彼にとっては、発覚して捕まる確率は非常に低く見積もられるようになる。
そうして、「絶対に大丈夫」と「自信過剰」になって、ついには捕まってしまうのである。
おなじように、ギャンプルで破滅する人も、「過去の成功体験」から、自分には「ツキ」があると思い込んでしまい、「ツキ」さえ戻ってくれば、いくら大きな損でも取り戻すことができると思うのである。
人生においても、若いころのいくつかの成功体験から、自分の「得意分野」であると思ったり、「好きなこと」だと思ったりして、その道のプロを目指す人は多い。だだ、「好きなこと」をやれば、成功するというわけではないし、「好きなこと」をやることによって、それ以外の喜びや楽しみを犠牲にしているのかもしれない。
プロ・スポーツの選手にせよ、オリンピックの選手にせよ、「好きなこと」だけやり通すのには、よほどの覚悟と忍耐力が必要である。たぶん、彼らの人生のなかでは、失ったものもまた多かったはずである。
だから、「ほんとうに好きなこと」が見つからなかったからといって、かならずしも、がっかりすることはない。
「ほんとうに好きなこと」が、すぐに見つからないことは、人生をすごす上では、けっして悪いことではない。

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