2012年7月13日金曜日

津田倫男 大解剖 日本の銀行


2012 株式会社平凡社


「銀行」は、多くの個人や法人から「預金」というかたちでカネを集め、それをまた多くの個人や法人などに「融資」というかたちで貸す。そのあいだの金利の差が「利ざや」という銀行の儲けになる。
銀行預金は、預金保険機構により、元本1000万円と利息の合計額まで保証されている。
銀行業務の基本は、預金と貸出、決済であるが、いまの銀行は預金集めにそれほど熱心ではなくなった。超低金利のため、利ざやが極端に小さくなり、その上、預金保険機構に支払う保険料がバカにならないからである。
融資についても、景気低迷が続いているため、企業倒産や業績不振が相次ぎ、不良債権を増やすくらいなら貸さないほうがいいという態度になってしまっている。
融資をしない代わりに、資金を運用する先が、「日本国債」ということになる。
預金を国債で運用しても、たいした利益にはならない。そこで、銀行が頼りにするのは、手数料収入である。決済あるいは為替は、銀行の本業であり、ATM利用料、振込手数料、口座振替手数料などの手数料収入は大きい。
このほか、大手の銀行では、国際業務による収入が大きい。さらに、最近では、銀行で証券や保険も取り扱うようになっている。
こうしてみると、中小企業の成長を手助けするという本来の銀行の役割を果たしていないという批判にも一理ある。
日本では、地方銀行や信用金庫といった地域の金融機関の数が多すぎると以前から言われてきた。おそらく、こうした地域の金融機関は、地元の資産家層に支えられているのであろう。
そうでなければ、わざわざ専門でない銀行で証券や保険を買う理由はないはずである。
地元の産業が衰退するとか、国債価格が暴落するとかいうことでもないかぎり、地方銀行や信用金庫は数が多すぎると言われながらも生き残りそうである。

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