2011年1月7日金曜日

遠藤浩一 政権交代のまぼろし

2010 株式会社産経新聞出版

1958年生まれ

著者の主張は、だいたい以下のようになる。

自民党から民主党への政権交代は、たしかに大事件ではあったが、日本の政治体制が大転換したというのではなく、「戦後」がますます醜悪な形で固定化したのである。
平成21年8月に起こった「政権交代」は、あらかじめそれ自体が争点として設定され、釣り餌のようなマニュフェストが掲げられて、有権者の明確な意思として政権交代が実現した。この選挙で特徴的だったのは、無党派層はもちろん自民党支持層も民主党に票を投じたことである。
従来から保守層の自民党離れが進んでいたのに加えて、民主党がある程度の実力を備えてきたと認められるようになり、自民党への不満が民主党の勝利につながった。つまり、民主党に対する警戒感がなくなって、自民党に似た政党であると見なされるようになった。

民主党は、反自民という一点で、まとまっていただけなので、実際に政権を取ってみると、他の連立与党にひっかきまわされたり、党内の対立が激しくなって、政策の迷走ぶりが目立っている。
消費税についての議論を取ってみても、選挙前、自民党の麻生首相は、景気回復が最優先だが、そのあとで消費税を10%に上げさせてもらいますと言っていた。いっぽう、民主党の鳩山代表は、民主党が政権を取ったら消費税は4年間は絶対に上げない、財源などは無駄な支出を見直せはいくらでもあると言った。
ところが、そんなことは民主党のマニュフェストには書いていない。
民主党でも、藤井元財務大臣などは、消費税を4年間も上げないのは無理であろうと言っている。
民主党内でも、さまざまな意見があるのだが、実際の政策は、大臣、副大臣、政務官などわずかな人間によって決められてしまう。これが、民主党の「政治主導」の中身である。

国民の民主党政権への不満は日に日に高まっているのに、野党第一党の自民党は支持を回復できているとは言えない。
このまま民主党政権を存続させないためには、保守勢力は「自民党」という枠を超えて、国家を保守するための戦略を立てる必要がある。
自民党と民主党という二大政党は虚妄であり、このままでは、日本は破滅に向かう。
「平成の保守合同(政界再編)」は、国家再生のために不可避の課題である。

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