2011年1月11日火曜日

川又三智彦 2017年 日本システムの終焉

2006年 株式会社光文社

1947年生まれ

著者は、1983年に「ウイークリーマンション」事業を始め、大成功をおさめた。
しかし、1990年3月、大蔵省から「不動産融資総量規制」という通達が出されると、銀行の態度は豹変し、著者は日本有数の資産家から大貧民へ転落した。
政府の政策によって財産を失ったのである。バブル崩壊当初は、経営者が大変な目にあわされてきた。
それと同じことが、今はサラリーマンに起きている。リストラで失業者は増え、雇用の安心はなくなり、自己破産や自殺者は激増し、犯罪も増えた。
賃金カットで住宅ローンなどの借金に苦しむ人が増えている。

政策ミスによってバブルを引き起こした国家と官僚たちは、国家財政も危機に陥れた。
国は財政破綻の回避に動き出し、バブル崩壊のツケを国民に回したのと同じように、今度は国家の借金も国民負担にしようとしている。
国を信頼してはいけない時代に入ったのである。

それでは、官僚に責任を追求したとしたらどうであろう。彼らは、財政危機を訴えたが、大臣や首相に指示されたのだと言うであろう。
予算は、国会によって審議され承認されなければならないから、責任は政治家にある。
政治家は、国民が景気対策の優先を望んだからだと言う。
このように、最終的にツケは国民に行くしかない。

仮に、国家財政が破綻しそうになると、まず大増税が必至である。
つぎに、国債が暴落して金利が高騰し、住宅ローンなどは、とても払えなくなる。
円の価値も下がって、輸入品価格が上がり、物価が高騰する。

このような事態になると、最も影響を受けるのは、国民の多くを占めるサラリーマンである。
逆に、影響が比較的少ないのは、人に必要とされる技能を持った医師や職人などである。
幕末には武士階級が没落し、それまで辛酸をなめてきた商人が浮かび上がった。
同様に、著者がこれから予想する「国家破産」においても、チャンスをつかむ人間もたくさんいるに違いない。

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