2011年1月28日金曜日

高橋乗宣・浜矩子 2010年 日本経済「二番底」不況へ突入する!

2009 東洋経済新報社

高橋乗宣 1940年生まれ

浜矩子 1952年生まれ

本書では、はじめに題名のような悲観論が展開されるが、最後には、それでも日本経済に活路はあるという。
「リーマン・ショック」に始まった金融危機から、1年以上が経過し、日本、そして世界経済は最悪期を脱したかのように見えるが、落ち込んだ経済は、もう元には戻らず、底ばい状態が続くのではないかという懸念が強い。
過去、何度も危機を乗り越えてきた日本経済だが、今回も危機を脱し、好景気になるというイメージは浮かばず、むしろ、少子高齢化の加速とともに、これまで日本経済がこつこつと蓄積してきた「地力」が底を尽きつつあるというイメージが強いのではないかと書かれている。

こうした日本経済を取り巻く閉塞感を打破してほしいという有権者の期待もあり、2009年夏、民主党政権が誕生した。鳩山首相は、経済成長至上主義路線からの軌道修正を打ち出し、「人間のための経済」という方向性を打ち出した。ただし、民主党の政策は、一貫したビジョンを欠いたもので、これから厳しく試されることになるだろうとしている。

もっとも、これからの経済政策は、今までとは異なったやり方が求められていることも事実である。格差の拡大、貧困の問題などは、「成長戦略」とか「景気対策」という言葉だけで解決できるとは思われない。「内需拡大」という言葉も、国境のないグローバル経済時代には、何かそぐわなくなっている。
「新産業の育成」も大切ではあるが、それを「国を挙げて」追求するという発想自体が、古くさくなっている。
成長しない成熟社会をどう支え、活力を持たせていくことができるかが問題である。

それでも、いつまでも悪いことばかりが続くわけではない。
中国やインドが豊かになっていけば、日本の高級品に対する需要が増える。
中国企業が日本企業を買収して、日本国内の雇用が増えるという場合もでてくるだろう。
高い技術力やサービス力を活かすことができれば、日本人がグローバル市場で活躍できるチャンスもあるはずである。

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