2010年4月29日木曜日

田尾雅夫 成功の技法

起業家の組織心理学

2003 中央公論新社

1946年生まれ

今の社会は、ベンチャーやアントルプルナー(起業家)を必要としている。
けれども、誰でも出来るようで出来ないのが、ベンチャーであり、アントルプルナーである。
著者は、どのような人が、どのような事情で成功できるのか考察している。
ベンチャーやアントルプルナーになれる人は、ごく一握りの人たちである。
そういう人たちは、特異な才能に恵まれた人であると思われている。
本など読むより前に、能力や境遇、なかには逆境までもが、彼らを駆り立てるのである。
今の社会では、政治家や医者などをはじめとして、二世がよく目に付く。起業家にしても遺伝子があって、親や親族にそのような経験を持つ人がいることがある。
彼らの成功の裏には、陰になって支持してくれる人がいることも多い。
全く単独で成功するのは、至難の技である。

成功した経営者などで、カリスマと呼ばれる人がいる。
カリスマとは、ある意味ではウソといって悪ければ、ほらが吹ける人である。そのうちに、その人の周りに人が集まってきて、ウソがウソでなくなるということがある。
何でもわかっているリーダーなど、そうやたらとはいない。自信たっぷりにウソをつき通せる度胸または信念のある人が、カリスマやリーダーになるのである。
こうした演技が出来るのも、生まれ付きの才能によるところが大きい。
才能と幸運に恵まれ、成功したとしても、つねに失敗のリスクはつきまとっている。
悲惨な末路をだどる人も珍しくない。
したがって、大多数の普通の人は、組織に属するという、より安全な方法を選んでいる。それでも、あえて会社を辞めて起業するのであれば、分相応ということを心がけるべきである。

著者は、起業をしようとするならば、まず、自分に対してできるだけ正確で厳しい自己像を持つべきだと言う。
それもそうであるが、考え込んでばかりいては、チャンスをつかむことはできない。
起業をした人のなかには、若くて知識も経験も豊富とはいえない人もけっこういる。
幸運にも、その成功が大きければ大きいほど、他人からは、才能があるように見えるのである。

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