2010年4月22日木曜日

畑村洋太郎 決定学の法則

 2004 株式会社文芸春秋

1941年生まれ

著者は、「失敗学」を提唱して、失敗体験から学ぶことの必要性を説いている。
「失敗学」は、失敗という結果から、それに至る道筋を探っていく。それにたいして、「決定学」は、人がものを決めるときの道筋を明らかにして、より良い決定のあり方を探る。

決定とは、「いくつかの選択肢のうち一つだけを選ぶこと」である。
たくさんの選択肢を用意して仮想演習をして、あとは直感的に選択する。
決定する最中にも、決定したあとでもかならず「迷い」が生じるものである。
迷っているうちに時間が進んでしまう。「迷い」と適当につきあうことも必要である。

著者は「もしも・・・していたら。」とは考えないようにしている。
過去を思い出してくよくよしてもしかたがない。自分がやりたいことは、自分で決めてやれば後悔することもない。正しいやり方で決定できれば、たとえ失敗しても、あまり後悔しなくてすむ。

人生には、どれかを選ばなければならないことに遭遇するが、自分で選ばなくとも周りの状況に流されてしまうことも多い。それも、ひとつのやり方であるが、「人並みの幸せ」という考え方がなくなってきたいま、自分自身がどう決めるか考えることが必要である。

著者は、わからなくなったらまずは動けと言う。動き始めると自分の視点が変わり、周囲の状況も変わってくる。

決定を引き延ばして問題解決を先送りするのは、楽な下り坂を下るようなものである。下った先に待っているものを考えなければならない。

決定をするときに、自分にとって「損」か「得」かを考えるのは普通である。
しかし、人生を左右するような職業選択のような場面では、金銭的な損得勘定より「夢」や「志」を満たす選択をしておかないと、のちのち後悔する。
あとから振り返ると「自分の人生はこれでよかったのか」と虚しさを感じるという。
しかし、人の能力は限られているので、夢や志を実現できる人はごくわずかである。

老年になると、過去の楽しかったことや嫌なことも記憶がはっきりしなくなる。
それでも、過去を振り返って考えることは意味のあることである。
「決定する」とは、複数ある選択肢のうちから一つしか選べないことである。
そのため、迷いや後悔はかならず生じるが、それも、また、やむをえない。

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