2010年4月12日月曜日

秋山隆平 情報大爆発

 2007 株式会社宣伝会議

著者は株式会社電通で、1990年代から、インターネット広告のビジネス化を進めてきた。
本書の題名である「情報大爆発」とは、インターネットの時代になって、情報の供給量が飛躍的に増大したことを指している。
いまや、情報過剰時代である。今、伸びているのは、情報産業というより「情報整理産業」である。
消費者にとっては、膨大な情報の中から、必要な情報をどれだけ効率的に探し出せるかが重要になっている。以前は専門家や評論家が果たしていた役割が、ネットの社会では消費者同士の情報交換に代わりつつある。

情報過多社会では、これまで考えもされなかったものが希少になってくる。
それは、"Attention(注目)"である。

膨大な情報のなかで、人々の注意を引きつけるにはどうしたらよいのだろうか。

この点で、日本におけるテレビ放送は、はじめから、街頭テレビとしてスタートした。
人々は力道山のプロレスや野球に熱狂した。道行く人の足を止めさせて、こちらを向かせるという街頭テレビの視聴者獲得戦略こそが、アテンション・マーケティングである。いまでも、テレビ番組のルーツの多くは、縁日や大道芸に見ることができる。テレビ番組の軽薄さを指摘する人も多いが、テレビは、もともと人の注目を引くことが目的であった。娯楽性を高めることによって視聴者を獲得し、娯楽につつんで広告情報を伝える手法は、きわめて効果的である。テレビの広告情報伝達の仕組みは、娯楽を求めているうちに、いつのまにかスポンサーの名前を覚えてしまうところにある。日本人は、トヨタ、キヤノン、シャープなどのブランドを、すばらしいものであると思いこんでいる。それも、おそらく、テレビを見ているうちに無意識に記憶されたためであろう。

それにたいして、インターネット上の広告はテレビのような強力なインパクトがないのが弱みである。
インターネットの世界でどのように情報が伝えられ、人々の注意を引きつけ、動かしていくのかは、これからの企業や広告業界にとっての大きな課題である。

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