2009年7月25日土曜日

高橋洋一 日本は財政危機ではない!

2008.10 株式会社講談社

1955年生まれ 2008年3月財務省を退官 東洋大学教授

「財務省の人々は、税金をたくさん集めて自分たちの自由になるお金を増やすことにしか関心がない」のだそうだ。「まえがき」で著者は次のように言う、「敢えていいたいのである。・・・財務省が主張するほどに『日本は財政危機ではない』と」

p26
「財務省は『日本は834兆円もの債務を抱えている。これはGDPの160%にもあたる危機的数字だ』と財政危機を盛んに喧伝し、増税の必要性を強調している。しかし、これは財政タカ派の増税キャンペーンであり、数字の扱いには注意が要る。裏にはトリックが隠されているからだ。
私から見れば二つの点でおかしい。第一点は、債務だけを強調し、日本政府が保有する莫大な資産については、触れていないことである」
(ただ資産については、単に帳簿価格だけで実際に処分できないものが大部分であろう)

p28
「すでに財政赤字が騒がれていた2002年4月、アメリカの国債格付け会社によって日本国債の格付けが引き下げられた。慌てた財務省は、『日本は世界最大の貯蓄超過国であり、国債はほどんど国内で消化されている。また経常収支黒字国であり、外貨準備も世界最高である』との意見書を格付け会社に送りつけた」

p31
「日本の場合、バランスシートで見れば、もろもろの債務を含めて約1000兆円の負債がある。一方で、約700兆円の資産があるので、純債務は約300兆円だ。・・・
日本のGDPは500兆円あまり。・・・
純債務の対GDP比は、60%。決して低いとはいえないが、適切な経済政策を実施し、経済成長を促せば、管理できない数字ではない」

p51
「すなわち財政再建の一番バッターは「デフレ脱却」、二番バッターは「政府資産の圧縮」、三番バッターは「歳出削減」、四番バッターは「制度改革」で、「増税」は最後の五番バッター。これが中川さんの打順論だ」 (中川さん=中川秀直)

p141
「かように増税の前にやるべき政策はいくらでもあるのに、財務省はひたすら消費税アップだけを叫ぶ。
最近、財務省がとみに強調しているのは、社会保障のなかでも年金の財源不足だ。年金問題を逆手に取って『このままでは年金システムが破綻するので、消費税率の引き上げは避けられない』、というロジックである。・・・
つまり、急を要するレベルの話でもないのに、『消費税アップ』のムードづくりのために年金を持ち出したともいえるのだ」

私には、著者の言っていることが、はたして本当に正しいのかどうか即断できない。
また本書も全部を詳細に読んで理解したとも言えない。
しかし、元エリート官僚である著者が以上のように言っているのであるから、日本はそれほど財政危機でもないのかなとも思えてくる。

消費税率アップが叫ばれつづけていることも事実である。いっぽう、本書でも述べられているように、なぜ年金と消費税とが結びつくのかはっきりとしない。
財務省は、いつも収入つまり税金が足りないと叫び続けているらしい。

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