2009年7月19日日曜日

副島隆彦 恐慌前夜

アメリカと心中する日本経済
2008.9 祥伝社


著者は1953年生まれ
著書に「連鎖する大暴落」「預金封鎖」「守り抜け個人資産」などがある。

「あとがき」で著者は次のように述べる。

「私は金融・経済の先読みで予測・予言をはずさない。これまでずっとはずさないでやってきた。その評価をすでに得ている。読者になってくれる人々の信頼を得てきた。私はいよいよ、次は霊能者になることを目指そうと思う。自分が優れた霊能者になることができて、人々に正しく助言できれば、多くの人々を破産と投資の失敗から救うことができる。
最後は、『その人の言うこと(書くこと)を信じるか、信じないか』のどちらかだ。甘い考えをして、自滅しても本人のせいである」

「背表紙」より

「アメリカの金融危機が日本に飛び火した
農林中金5.3兆円、三菱UFJ3.3兆円!
―日本の金融機関は、サブプライム崩れで大きく信用毀損した米二大住宅公社(フレディマックとファニーメイ)の不良な債券を、これほどまでに巨額に買い込んでいた。
日本人は米政府が住宅公社を支援するから大丈夫と思っている。
しかしそれは不可能だ。アメリカは日本に1円も返さない。
恐慌は目の前に迫っている」

私も最近知ったことであるが、「恐慌」のほうが「危機」よりも深刻なように聞こえるが、経済学の英語で言うとどちらも"crisis"となるらしい。「恐慌」という言葉は、いまでは、よほどのことがないかぎり使われなくなってしまった。

今回の金融危機または金融恐慌も、いまは沈静しているように見えるが、はたして今後どうなるのかということになると、まだ不安が無くなったとは言えない。

当然のことであるが、この本を読んでも、すべて著者の予想のとおりになると信じるという読み方はできない。役に立ちそうな情報は取り入れるという態度で読むのが、この本の読み方であろう。

著者は不動産投資に今は手を出すべきではないと言う。外資系ファンドが撤退しているので、都心の商業ビルの値下がりは激しい。
その一方で、中国人たちが日本の温泉地を買うという動きが出ているらしい。全国各地の温泉地には、20年前に建てられた巨大な温泉ビルが多数あり、それらはすでに不良債権になっており、銀行に差し押さえられたままになっている。
これらの物件を台湾、香港、華僑、中国本土の資本が買っていくだろうと著者は言う。こうなるとゴルフ場だけでなく温泉まで外資に買い占められるということになるのだろうか。
私は最近、ゴルフも温泉もあまり行かなくなってしまったが、東京近辺の観光地でも中国人観光客でいっぱいだからもっともそうな話である。

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