2012年4月14日土曜日

中谷健一 「どこでもオフィス」仕事術

2010 ダイヤモンド社

N氏はコンサルティング会社の経営者である。と言っても、実体は、ほぼ個人商店である。自社オフィスは、青山においてあるが、レンタルオフィスで、電話の受付サービスと郵便転送サービスを利用している。そこに居ることはほとんどなく、大部分の時間を、クライアント企業やその他の外出先ですごしている。このような働き方ができるのは、ネットにつながるパソコンさえあれば、どこでも仕事ができるようになったからである。
外出先のあらゆる場所がオフィスになる。もっともよく利用するのが、ルノアール、スタバ、マックなどのカフェで、無線LANや電源まで利用できるところがある。ルノアールでは、いくら居ても嫌な顔をされることもない。もっとも、セキュリティには十分注意しなければならない。トイレで席をたつ時には、パソコンもいっしょに持っていくのがもっとも安全である。子供が休みのときのマックは、子供がゲーム機を使うので無線LANがつながりにくくなることがあるので注意である。
外出先で書類のプリントをしたくなるときがある。このようなときには、コンビニでプリントアウトできるところもある。都会では、ビジネスサービスセンターでパソコンからプリントアウト、さらに製本まですることができる。
ファイルはクラウド上に保管して、パソコンとスマートフォンを使用している。こうしておけば、どこでも思いついたことを入力することができるし、データを取り出して利用することもできる。
このような自由な働き方は、自営業者しかできないというわけではなく、ふつうの企業の営業担当者でも同じような行動をとっている。最近、日本の企業でも、「成果主義」が導入され、成果を達成さえすれば、勤務場所も勤務時間も関係なしという会社もあらわれた。
そうなると、会社のチームとしての結びつきが弱くなるかというと、そうとも限らず、ネットにつながるパソコンでしょっちゅう会議をしているようである。行動も「位置情報システム」である程度管理されている。
こういう働き方が、もし一般的になると、不要になるのが、巨大な本社ビルであろう。現在でも、銀行などでは、かって建てた立派な本店ビルの使い道がなくて困っているのではないだろうか。外から見ると立派だが、内部は、ガラガラで薄暗く、メンテナンスのコストばかりがかかっているのだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿