2012年4月2日月曜日

八子知礼 図解 クラウド早わかり

2010 株式会社中経出版

クラウドコンピューティングとは、膨大な情報の処理をインターネットの向こう側にある巨大なコンピューターに任せる技術・サービスのことである。これを利用することによって、ユーザーはネットにつながるデバイスがあれば、どこからでも利用できるので、自分のパソコンやシステムを維持管理する煩わしさから解放される。個人は、高機能のパソコンやソフトウエアを持つ必要がなくなり、企業も自社のサーバーの購入費や維持費などのITコストを低減できる。
このようなクラウドコンピューティングは、ネットに接続するコンピューターが爆発的に増えたことによって、グーグルやアマゾンのような企業がネット経由でユーザーにサービスを提供するようになったことによって生まれた。
はじめは個人向けだったが、企業向けのサービスもクラウドによって提供されるようになった。
クラウドサービスは、今後急速に利用されるようになると思われるが、いくつかの問題もある。
法人の場合、自社のデータやシステムを社外に置くことになり、セキュリティーやメンテナンスが十分かという問題がある。実際、クラウドサーバー内の個人情報が消失したという事故も起きている。
日本の企業では、データやシステムをアメリカの企業に置くことに不安をもつところもある。
クラウドビジネスは、データセンターで莫大な電力を消費する。クラウド社会が到来すると、同じく将来予想される電気自動車との間で電力の取り合いが起こるのではないかと言われている。将来の電力需要は、電気自動車とクラウドデータセンターのために飛躍的に増加する可能性があるが、じゅうぶんな電力が供給できない恐れもある。
クラウドが、地球規模で利用されるようになると、電力が廉価で安定的に供給される国や地域にデータセンターを置くことが有利になる。クラウド技術は、アメリカの企業が優位にたっており、今後もこのままの状態が続けば、日本はアメリカのクラウドコンピューティングを利用するだけになり、日本のIT産業の「空洞化」が進むことも懸念される。

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