2010年12月13日月曜日

関志雄 チャイナ・アズ・ナンバーワン

2009 東洋経済新報社

1957年香港生まれ

1978年、鄧小平によって、それまでの毛沢東路線は否定され、「改革開放」を軸とする政策が始まった。
このとき、中国のGDP規模は日本の2割程度であった。だが、30年間にわったって年率10%近い成長を続けてきた結果、2010年には日中逆転が起こりそうである。それでも、一人当たりのGDPではまだ途上国の域を出ていない。
したがって、今後も高い成長を維持していくことが見込まれている。
2030年までには、中国のGDPがアメリカを抜いて世界のナンバーワンになることも十分ありうることである。

中国は経済大国として台頭してきたが、乗り越えなければならない課題も多い。
人口の高齢化、格差の拡大、環境の悪化、通商摩擦の激化、政治改革の遅れなどである。

著者によると、1990年以降、中国経済が躍進を遂げたのに対し、日本経済が低迷しているのは、日本では「改革開放」が進展していないためである。日本では、政府が既得権益を尊重するあまり、景気対策という名の下に、次から次へと公的資金を衰退産業につぎ込んできた。このため、国全体の投資効率は悪化し、産業の高度化も進展していない。中国から学ぶべきことは、新しい成長分野の育成を推進しなければならないということである。

日本は中国の経験から学ぶとともに、中国経済の活力を活かすべきである。
中国の台頭は脅威となるばかりでなく、日本経済活性化の契機となりうる。中国は生産基地としてだけではなく、製品の市場としても注目されている。日本が優れている分野においては、日本にとっても多くのビジネスチャンスがあり、日中が補完関係に立つことが望ましい。

日中両国の歴史認識の問題や、両国民の相互不信は、経済協力の妨げになっている。
しかし、ヨーロッパでは、二度に渡って世界大戦を戦ったフランスとドイツが経済統合をはたしている。
日中間の過去の歴史も乗り越えられないということはない。

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