2010年8月16日月曜日

茂木健一郎 脳を活かす仕事術

「わかる」を「できる」に変える

2008年 PHP研究所

1962年生まれ 脳科学者

「わかっているのに、できない」ということが、よくある。その原因は、本書によれば、脳の「感覚系学習の回路」と「運動系学習の回路」が異なることによる。
「感覚系学習の回路」は、見る・聞く・感じるなどを通した情報の入力を司る領域である。
「運動系学習の回路」は、実際に手足を動かして情報を出力することを司る領域である。
この二つは、脳のなかで、直接、連絡をとっていない。そのため、感覚系と運動系の両者を連絡させるには、一度、頭のなかの情報を出力しなければならない。
考えることは、脳の最も主要な役割のひとつであるが、行動するために身体を動かすことも、脳が主導して行っている。
たとえば、一般に、日本人は、長い間、英語を学んできたにもかかわらず、なかなか会話ができるようにならない。会話ができるようになるには、実際に口を動かして外国人と会話するというトレーニングが欠かせない。
脳の出力と入力の連携をたかめることによって、脳が活性化し、自律性と自発性が生まれてくる。

脳は、変わりうる器官である。言い換えると、脳には「可塑性」がある。
人間の脳は、常に変わることができ、これは誰もが持っている能力である。
人間の脳が変わることができるということは、人間そのものが変わることである。
それまでの人生で、どんな仕事や行動をしてきたか、どれに成功して、何に失敗したかは、関係がない。
脳、したがって、自分は、つねに変わることができる。
脳梗塞などの病気のため、脳の機能の一部を失っても、リハビリによって回復することはよくある。
脳に可塑性があり、常に変わることができるのは、脳のすぐれた機能である。
しかし、その一方では、使わないでいると、今までできていたことが、できなくなってしまう。
そのため、スポーツ選手は、つねに練習していなければならない。
また、高齢になって能力を維持していくのは、かなり大変になってくる。

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