2010年8月2日月曜日

立花京子 信長と十字架

天下布武の真実を追う

2004 株式会社集英社

1932年生まれ

「『天下布武』の理念を掲げて、ポルトガル商人やイエズス会をはじめとする南欧勢力のために立ちあがった信長は、彼らによって抹殺された―。信長研究に新風を吹き込んできた注目の研究者が、この驚愕の結論を本書で導きだした。」(扉より)

「1492年のコロンブスの『新大陸発見』以後、十六世紀に入ってからのイベリア両国が中南米、インド、フィリピンにおいて展開した大植民地化政策は、カトリック布教を先兵として展開されていた。・・・
彼らによって突き動かされた、グローバリゼーションの大きなうねりが、安土にまで押し寄せていたのは明らかであった。」(p190)

信長といえば、比叡山焼き討ちなど、仏教の僧侶を虐殺したことでも知られている。
これも、信長の残忍さだけはで説明がつきにくいが、キリスト教の宣教師からの何らかの教唆があったとすれば、説得力が増す。
秀吉の無謀な朝鮮出兵も、宣教師による海外情報から決意されたのかもしれない。
また、堺では、千利休のまわりにキリシタンが何人もおり、洗礼の儀式の一部が茶の湯の作法に取り入れられているという話もある。

戦国時代、および安土・桃山時代は、日本人が最も活動的であった時代だが、キリスト教文明の影響は非常に大きく、後の江戸幕府は鎖国政策を取らざるをえなくなったのであろう。

イエズス会は、20世紀に入ってから、再来日し、上智大学などの学校を各地に開設している。また、ザビエルの遺骨の一部も、聖遺物として日本の教会に戻ってきたとのことである。

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