2012年10月25日木曜日

丸谷才一 どこ吹く風


1997 株式会社講談社

東京の悪口

東京に住んでいる人は、東京が自慢で、東京が好きかというとかならずしもそうではない。
東京は、明治時代以降に全国各地から移り住んできた人が大部分である。
そのなかでも、とりわけ、大阪出身の人は、せっせと東京の悪口に励むらしい。
なかでも、ありふれているのが、東京の「うどん」の悪口である。あんなもの、とても食えたものではないという。
大阪出身者は、大阪にも愛着があり、東京も住みやすいという両方の感情を持っている。
そこで、故郷に義理をたてて、東京の悪口を言うそうである。「うどん」の味を悪く言うのは、そういうときには都合がいいのである。
そういえば、「関西うどん」というのはよく聞くが、「関西そば」とか「大阪そば」というのは聞いたことがない。
「そば」は、東日本の食べ物なのだろうか。
関西と関東では、言葉だけでなく、食べ物も含めて「文化」の違いがあるらしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿