2012年8月18日土曜日

エネルギーを選ぶ時代は来るのか


NHKスペシャル「日本新生」取材班

2011 NHK出版

日本の電力供給システムは、「大規模集中型」と呼ばれ、地域独占の電力会社が、発電から送配電までをすべて行っている。
このシステムは、全国一律に安定的に大量の電力を供給し、戦後の高度成長を支えてきた。
原発が増設されるのにつれて、日本の総発電量は増え続け、日本人は電力を「湯水のように」使うことに慣らされてきた。
しかし、原発事故によってこのシステムは脆弱性を抱えていることが明らかになった。
原発事故以降、原発反対派と推進派とが対立している。
「反原発派」は、危険な原発に頼らなくても何とかやっていけると主張し、「原発推進派」は、自然エネルギーは不安定で発電コストも高く、大量の電気を供給することはできないと主張する。
じっさい、2009年の日本の総発電量のうち、原子力の占める割合は約30%、火力60%、水力7%、新エネルギー1%となっており、太陽光、風力などによる発電量の少なさがわかる。
太陽光発電や風力発電のコストが高いのにはつぎのような理由がある。
効率の高くない施設を作るだけでなく、遠隔地からの送電線を新たに敷設するコストが掛かる。
太陽光発電は夜間にはできず、風力発電は風向きや風の強さによって発電量が変わってしまう。
そのため、蓄電池に電力をため込んでから送電しなければならないので、蓄電池の設備にカネが掛かる。
発電した電力は、今のところ電力会社が買い取ることになっている。
電力会社が買い取ることが義務になっていると同時に、電力会社に売らなければならない。
東日本大震災による電力危機以降、従来の仕組みを変えて地域で電力の「地産地消」を目指す動きが被災地の自治体だけでなく、全国各地で起きている。

0 件のコメント:

コメントを投稿