2010年10月30日土曜日

米長邦雄 宮本武蔵の次の一手

2002 株式会社説話社

1943年生まれ

宮本武蔵は江戸初期の剣客である。
昔は、彼を知らない日本人はいなかったが今はどうであろうか。
著者は、将棋の永世棋聖という肩書きをもっている。
剣と将棋には、共通するものがあるのかどうかわからないが、どちらも一対一で戦うとういう点では同じである。
宮本武蔵の名前は有名だが、吉川英治の小説「宮本武蔵」は、あくまでフィクションである。間違いなく武蔵のものであるという遺品は、きわめて少ない。
「五輪書」は、武蔵が晩年に書いたものであるが、翻訳されて海外でも読まれている。
武蔵は、剣の道に志し、数々の試合に一度も負けたことがないと言われている。
武蔵の戦いは、厳流島での佐々木小次郎との決闘をもって終わった。その厳流島も、今では埋め立てられて跡形もない。

武蔵は、剣を握る時にはかたく握ってはいけないと言っている。
自然体に構えて、心にゆとりを持ち、手にもゆとりをもって、力をいれるなと言っている。そうすることで、相手の動きに、いかようにも対応できる。
武蔵は、やわらかく握った剣を、相手が打ちかかってきた瞬間にギュッと強く握り、相手を倒すのである。ゆとりがあれば、真剣になったときには、実力以上の力を出せる。
だから、ゆとりは非常に大事なのである。絵に描かれた武蔵は、二本の太刀を持った両手がだらんと垂れ下がっていて、いかにも頼りなさそうに見えるが、それこそが、ゆとりの姿なのである。

著者によれば、人生腹八分目が大切である。
著者は、人生のピークを70歳に置いていて、70歳までは全力投球しないことにしている。
著者は、いまだかって一度も全力疾走したことがない。
いいかげんな人生を送ってきたのではなく、余力を持って次の行動を起こすためである。

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