2013年8月3日土曜日

和田秀樹 「判断力」の磨き方

2007 PHP研究所

機械にはできないが、人間にはできることとは何だろう。
しばしば、高度な「判断力」が人間にしかできないと言われている。
しかし、ここに問題があって、人間には正しい判断をすることが難しい。
判断するのは、最終的には意思決定をして行動するためだと仮定してみよう。
そうすると、最後には、右か左、イエスかノーかを選ばなければならないことになる。
これが、人間の判断を制約して、白か黒か、敵か味方か、善か悪かという二分割思考をしがちになる。
現実は、むしろ、あいまいで、白か黒かというより、グレーであることが多い。
ある一面では善であるが、他の一面では悪であることもある。
100%の味方もいなければ、100%の敵もいない。
むしろ、こちらの出方によっては、味方が敵になり、敵が味方にもなる。
二分割思考のような判断をゆがめる考え方には、ほかにも、完全主義、過度の一般化、選択的抽出、レッテル貼りによる思い込みなどがある。
一人では正しい判断ができないのであれば、集団で意思決定すれば正しい判断ができるかというと、そういうわけにもいかない。
集団全体の「空気」または「感情」が、集団全体を支配し、判断をゆがめることがある。
有力者の発言に引きずられて、冷静で客観的な判断をすることができなくなる。
人間には正しい判断などできそうにないと言っても、以上のような心理的なワナがあることを知っていれば、すこしはマシな判断ができるようになるかもしれない。
どちらにしても、何らかの意思決定がなされ、あとは、時間の経過とともに、事態は前へ前へと進んでいく。
こうなったら、はじめから正しい判断をしようなどとはせず、考え方を柔軟にして、臨機応変に対応したほうよさそうである。

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