2012年9月18日火曜日

上野佳恵 「過情報」の整理学


2012 中央公論社

今は、「情報」があふれかえっている。
その理由は、もちろんインターネットの普及である。
インターネットで言葉を検索すれば、いろいろな情報がすぐに手に入る。
情報が爆発的に増えている理由の一つは、普通の個人でも情報が発信できるためである。
以前は、限られた地域の人たちにとっては重要でも、それ以外の人にとっては興味をそそられない情報があった。、
たとえば、評判の良いクリニックや歯医者、おいしいレストランなどの情報である。
いまでは、そういう情報でさえも、ネット上には、地元の人の口コミ情報で溢れている。
飲食店や居酒屋は、ネット上の評判を気にしないわけにはいかなくなり、なかにはサクラを使ってまで、良いうわさを流そうとするものが現れることになる。
ネット上の情報は、容易に「コピー・アンド・ペースト」され、おなじような情報が次々と拡大再生産されていく。その過程では、伝言ゲームさながらに、少しずつ内容がずれていき、はじめとは違う内容になってしまう。
大量のネット上の情報の中から、瞬時に入力したキーワードに合致する結果を表示してくれるのが、「検索エンジン」である。検索結果は、上から順番に表示されるが、人が見るのは、上位のランクに表示されたものだけである。
そこで、見てもらうほうでは自分たちのサイトをなるべく検索結果の上位に表示させようとする。
サーチマーケティングとかサーチエンジン最適化(SEO)とは、ウェブサイトの作り方や各種の設定によって検索結果の上位に表示されるような工夫をして、ウェブページへのアクセス数を増やそうというビジネスである。
その結果、検索結果の上のほうだけ見ていると、知らないうちに企業の宣伝や広告のサイトにアクセスさせられることになる。
Googleなどの検索エンジンは、日々改良されているが、知りたい情報が十分に手に入るとはかぎらない。
ネット情報の量はきわめて大きいが、それがほんとうに正確かどうかはわからない。
情報に振り回されない力、情報を見極める力も必要である。

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