2012年3月12日月曜日

藤井清孝 グローバル・マインド 超一流の思考原理

2009 ダイヤモンド社

1957年生まれ

著者は、灘高校から東京大学法学部へすすみ、三菱商事に内定したが、親の反対を押し切って、大前研一のマッキンゼーに入社した。ハーバード大学経営大学院でMBAを取得し、ゴールドマンサックスに入ったが、ウォールストリートの何も生産しないのに金融テクニックだけで莫大な報酬を得る体質に疑問を感じ、シリコンバレーで半導体製作会社の社長に転進した。その後も、いくつかの外資系企業の社長を渡り歩いているようである。
著者のように、自分で自分の進路をきめるというやり方は、うらやましいものがあり、日本で大企業のサラリーマンをしていたのでは著者のような経験はできないであろう。いっぽう、日本の社会は閉鎖的で誰もが我慢を強いられているので、嫉妬と怨恨のるつぼである。これを知っている人は決して自己主張などせず、「弱輩者ですが、よろしくご指導ください」などとへりくだって自分をわざと低く見せようとする。こういう人が、目上から引き立てられて出世するのが日本の社会というものである。
日本の大企業でも社員をアメリカの経営大学院に留学させているが、帰国後、日本の組織に失望して辞めていく人もいて、トップにまでいくのは日本にずっと留まっていた人が多いのではないだろうか。憶測ではあるが、日本人は今でも外国嫌いが多いようである。
ハーバード大学への留学生のうち、日本人は少なく、韓国人や中国人は非常に多いそうである。日本からの留学生が少ないのは、日本では、アメリカの大学への留学経験は、さほど評価されていないためかもしれない。
最近、東京大学は「国際標準」と称して、大学を9月入学に変えると言い出したそうである。新興国の優秀な若者が、日本の大学院にこなくなったという危機感があるからであろう。
しかし、問題は4月か9月かということではなく、日本の大学に留学して、日本語を修得しても、彼らが活躍できる場所が日本にないことにあるのだろう。もしそうならば、日本でしか使われていない日本語を学ぶのは時間の無駄である。
アメリカの大学で勉強すれば、英語だけで済み、世界中に活躍の場が広がっている。
新興国の若者が、日本よりアメリカを選ぶのは当然のように見える。

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