2012年3月28日水曜日

中西進 古代往還

2008 中央公論新社

四国の香川県、琴平町にある金刀比羅宮は、日本でもっとも有名なお宮のひとつである。この「こんぴら」という名前は、サンスクリット語(梵語)で、鰐のことである。ガンジス川にすむ鰐が神格化されて、仏教に取り入れられ、仏法を守る十二神将の仲間になった。それが金比羅大将である。
動物を神とするといえば、聖天とも歓喜天とも言われている仏教の護法神は、ヒンズー教のガネーシャが仏教に入ったもので、象が神格化されたものである。ガネーシャは、今でもインド商人の間でたいへん人気のある神様である。
動物といえば、東京の奥多摩にある御嶽神社や、埼玉県秩父にある三嶺神社の神様は、「大口真神」といって、狼が神様となっている。信者のあいだでは、狼は「おいぬさま」とも呼ばれている。
かって日本列島には、ニホンオオカミが生息していたが、公式には、明治時代に絶滅した。その後も、ニホンオオカミを見たという人は絶えないが、確認はされていない。
いまでも、まぼろしのニホンオオカミの存在を求めて探し回っている人がいるという。
各地で、鹿による被害がでているが、もしニホンオオカミが生息していれば、すこしは事態も変わっていたかもしれない。
ニホンオオカミは、驚くほど早くいなくなってしまったが、生き物を絶滅させてしまってから惜しむのは、人の常であるらしい。

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