2011年12月2日金曜日

外山滋比古 自分の頭で考える

2009 中央公論新社

1923年生まれ

謙虚さということ

「病人を見舞う人間は、どこかで優越感をいだいているようです。自分はありがたいことに健康であるのを、病人の存在によって実感させられるのです。そう考えるだけでも不遜で、病人に対して申し訳ないようなものです。まして、のこのこ出かけていって、優越感を満喫するのは、人の道から外れているといってもよろしい。
その後ろめたさを糊塗するために、品ものを持参するのかもしれません。
優越感を抑えることは困難です。優越感を病人にぶつけるのは、いかにも心ないことのように思われる、という理由で病気見舞をしません。それを慎みの心だと勝手に考えます。」(p150)

病気で入院している人は、孤独で心細いはずである。そのとき人が来て、「早く良くなって」と励ましてくれれば、どんなにか元気がでることであろう。そのいっぽう、空々しい言葉で優越感をむきだしにされたのでは、見舞い客が来たためにかえって疲れがどっとくることだろう。
病気の種類や程度、病人との日ごろからの関係によるのだろうが、私のようにぶっきらぼうな人間にとっては、著者のように見舞いに行かないで、陰ながら快癒を祈るほうが無難かもしれない。
ようするに、時と場合によるのであろう。

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