2010年5月4日火曜日

梶井厚志 戦略的思考の技術

ゲーム理論を実践する

2002 中央公論新社

1963年生まれ

自分のとる行動だけでなく、他人の様々な行動と思惑がお互いの利害を決めるような環境を戦略的環境という。
戦略的環境のもとで、合理的に行動するように意思決定することが戦略的思考法である。
戦略的行動とは、自分が動いたときに、相手がどう動くのか予想して、自分にとって有利に動くにはどうしたらいいのか考えることである。
人も組織も、しばしばこうした考え方で行動する。

たとえば、人の上に立つような人物が使う思わせぶりなそぶりも戦略的行動である。「何か困ったことがあったら、いつでも俺に相談しろ・・・」と言うが、肝心の「困ったこと」はめったにやってこないし、なかなか相談できるものではない。将来の恩を目の前にちらつかせておいて、本当に恩を与える確率は非常に小さい。
小さな可能性だけで、相手を自分の意のままにあやつることができるとすれば、有利である。もっとも、守れない約束を繰り返していると信頼されなくなって、自分に不利になる。

パソコンやデジカメが普及して、誰でも写真を自分でプリントできるようになった。
こうなると、メーカーはプリンターを安く売って、インクを高く売ろうとする戦略を取るのが、合理的である。消費者には、はたして、売っている価格が原価に基づいて決められたのか、それとも企業の価格戦略なのか知ることは難しい。
一時、携帯電話が無料というのがあったが、これなどは明らかに、無料のわけはないから、企業の販売戦略である。

戦略的思考を始める前に、自分の取りうる戦略にはどのようなものがあるか考えることが必要であるが、これが難しい。
戦略的というより以前に、何が目標なのか知ることすら難しいのが人生である。

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