2010年1月19日火曜日

柳田国男 「遠野物語」より

「山口、飯豊、附馬牛の字荒川東禅寺および火渡、青笹の字中沢ならびに土淵村の字土淵に、ともにダンノハナという地名あり。
その近傍にこれと相対して必ず蓮台野という地あり。昔は六十を超えたる老人はすべてこの蓮台野へ追い遣るの習ありき。
老人はいたずらに死んで了うこともならぬ故に、日中は里へ下り農作して口を糊したり。そのために今も山口土淵辺にては朝に野らに出づるをハカダチといい、夕方野らより帰ることをハカアガリというといえり」(話の番号111)

昔は、遠野地方では、村人は六十になると村から離れた共同墓地のようなところに追いやられていたのだという。
そこでは、村の六十過ぎの男女が暮らしており、幼馴染の者同士の愛や憎しみの物語があったとしても不思議ではない。昔は、このようなことが行われていたのかもしれない。
いま、いわゆる「団塊の世代」が六十代になり、団塊の世代よ頑張れと声援を送る人もいる。
それでも、六十過ぎという年齢は、身体的には今も昔もあまり変わらないのではないかと思えてくる。
六十過ぎでも、タクシー運転手、ガードマン、介護の仕事などいくらでも仕事はあるにはちがいない。
それでも、サラリーマンを辞めた者に、いままでとはまったく違った夜間や屋外での仕事は、できたとしてもかなりつらいだろう。
もっとも、政治家や経営者などは、団塊世代の活躍は、これからである。
知恵と行動力があれば、可能性はいろいろ開けてくるのかもしれない。

1 件のコメント:

  1. 久しぶりにトシちゃんにも馴染み易い読書感有難うございました。これからも、アラ還の活躍をお祈りいたします。

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