2011年8月13日土曜日

内田和成 仮説思考


2008 東洋経済新報社

正しい判断をするには、情報をたくさん集めればいいかというとそうではない。
なぜならば、情報を集め、分析するのに時間がかかり、そうしているうちに事態が進展して、判断が付いた時には、その価値が低下してしまうからである。
徹底的に調べてから答えを出すというやり方には無理がある。
では、どうすればいいかというのが、著者の言う「仮説思考」である。
「仮説思考」は、わずかな情報から、ともかく判断を導きだし、あとはそれを検証しながら補強していくやり方である。すくない情報から判断するので間違えることもあるが、新しい事実がわかったごとに訂正していけばいい。そのほうが、スピードのある的確な判断ができる。
はじめに仮説をたてて、おおまかな見通しをたててから、細部にいたるのである。
将棋の名人の思考法も、そうしたやり方でやっており、はじめにひらめいた手が、もっともいい手であったりする。
的を得た仮説をはじめにたてることができるためには、なによりも失敗をおそれず、経験をかさねることである。

「仮説思考」は、本を読むのにも使えるのではないだろうか。
本には、たいてい「はじめに」「目次」「おわりに」という部分がある。
この部分を最初に読んで、大まかなイメージを描いてから読んだほうが、ページを追って順番に読むより効率がいいし、理解がすすむ。
活字を追いかけるような読み方をしていると、途中で飽きてしまい、最後まで読むことは難しい。
小説のような読むこと自体が楽しみであるような本もあるけれども、一字一句丹念に読むやり方は、すくなくとも最初に本を読むときには賢いやり方でないことが多い。
ものを考えたり、仕事を進めるには手順があり、「仮説思考」は、すぐれた方法である。

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