2019年6月9日日曜日

在日朝鮮人 水野直樹・文京洙

2015 岩波新書

  日本の敗戦直後、朝鮮人は自らを開放された民族であると思い、無軌道な行動に走る者も多かった。警察も取締りには及び腰で、日本のヤクザと朝鮮人との抗争が頻発していた。
46年の総選挙では、戦前に内地戸籍を持たなかった朝鮮人は有権者から除外された。
47年には、最後の勅令として「外国人登録令」が制定され、在日朝鮮人は外国人と見なされた。
52年の講和条約の発効にさいして、旧植民地出身者は日本国籍を失うことになり、外国人登録証の常時携帯と指紋押捺が義務づけられた。
日本国籍を失った在日朝鮮人は、国・自治体などの公共機関に職を得ることができなくなり、当初は、ほとんどの社会福祉制度でも適用外とされた。
 在日朝鮮人は、差別されこそすれ、「特権」などはないように見える。
それにもかかわらず、なぜ「在日特権」という言葉が横行するのか。
在日朝鮮人は、企業に就職することが難しいので、パチンコ店や焼肉店の経営、プロスポーツ、芸能界などへ活路を見出した。これらの職業で成功し、裕福になった在日朝鮮人が目立つのも事実である。
日本の税金は、申告納税が基本になっている。
ここで、会社に勤めている者は、給料から天引きされるので、税金をごまかすことはできない。いっぽう、パチンコ店や焼き肉店は、申告所得を少なくして、税金を減らすことは容易である。
脱税や節税のやり方は、在日朝鮮人の商工団体などが指導したり、代行しているらしい。
 近頃では、日本社会の多国籍化が進んでいるので、在日朝鮮人を含め、外国人に対する見方も変わっている。
日本国籍取得(帰化)者も増え、「在日朝鮮人」は減りつつあり、中国人のほうが多い。

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