2009年12月25日金曜日

田原総一朗・佐藤優 第三次世界大戦

世界恐慌でこうなる!

2009.2 株式会社アスコム


冷戦時代はソ連・中国をはじめとする共産圏が頑張っていた。
ところが共産主義が1990年に滅びると、資本主義が独走し、それまで持っていたチェック機能、歯止め、自制心を失って暴走した。それが、2008年の金融危機の原因である。数学の天才がつくったきわめて高度な金融工学の技術も、けっきょくそれを使いこなすことはできなかった。これも今回の金融危機の根底にある大きな問題である。
資本主義を見直し、もう一度基本からやり直すのにはいい機会になるだろう。
ところで、佐藤はマルクスの経済学が資本主義とは何かをよく説明していると言う。
マルクスは、いうまでもなく、マルクス主義の開祖であるが、マルクス主義とはレーニンなどのマルクス解釈にすぎなかった。マルクス自身は、共産主義革命が起こることを期待していたのだが、「資本論」の内在的理論だけからは、かならずしも革命にはならない。宇野弘蔵によれば、資本主義は、金融資本による帝国主義の時代に発展していくことによって、もはや共産主義革命は必然ではなくなった。
古典派経済学やマルクス経済学は、いわゆる経世済民としての政治経済学であが、理論経済学や金融工学は、そのような哲学や道徳とは無縁である。今の経済学には哲学がないのが大問題だと佐藤は言う。
社会主義や共産主義が崩壊して、もはやマルクス主義は葬り去られたにもかかわらず、最近、マルクスの経済学が再び注目されているらしい。
以上のほか、二人の対話は、貧困の広がりが体制の維持を危うくしているとか、批判だけで無責任な反体制派、安全地帯に身を置いて批判ばかりしている巨大マスメディアなど、今日の日本を覆う深刻な話題に及んている。

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