アメリカ発「金融資本主義」の罪と罰
2009.1 PHP研究所
1945年生まれ
べンチャー企業の支援・コンサルティングを行うドリームインキュベータ社長
今回のアメリカ発金融危機の元凶は、エリートもどきの拝金主義者である。
著者は、かってライブドアの堀江社長や村上ファンドの村上世彰と論戦し、彼らに警告し反省を促したのだが、なぜか著者が悪者あつかいにされた。あのとき、彼らのバックにいたのは、リーマンブラザーズだった。
彼らインベストメントバンクは、信じられないくらいたくさんの弁護士を抱えており、彼らのすることは「法的・規制的には」何も問題がない。そして、かれらの主力商品のデリバティブは、理系の修士や博士によって設計され、論理的には一点の破綻もない。
彼らは、法外な金を稼いで逃げ去ったのである。
われわれ日本人は、彼らを生み出した金融資本主義―「虚」の経済から産業資本主義―「実」の経済へ回帰すべきである。
「いまこそアメリカの国策ともいえる金融資本主義とは決別し、日本人は産業資本主義の考え方で進んでいかなければならない。元来日本人はものづくりが得意で、汗をかくことも厭わず、産業資本主義に向いている。」(p182)
残念ながら、今回の金融危機の大打撃は、かなり長引きそうである。
「情けないが、私たちの対抗策としては、とりあえず『耐える』ことだ。耐えながら、常にチャンスを窺うことである。諦めることは少しもない。」(p187)
著者は、東大法学部を卒業後、三菱商事に勤務し、ハーバード大学のビジネススクールに留学してトップの成績で卒業した。その後、ボストンコンサルティンググループの社長を勤めた。
日本でも代表的な経営コンサルタントのひとりが「とりあえず耐えるしかない」と言うしかないのである。
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