2009年12月19日土曜日

手嶋龍一・佐藤優 インテリジェンス 武器なき戦争

2006 株式会社幻冬社

佐藤優は、かって外務省に対して圧倒的な影響力を持っていた鈴木宗男を裏から操っていたとして、「外務省のラスプーチン」と呼ばれた。
手嶋龍一によると、佐藤優は日本外務省きっての情報分析プロフェッショナルであった。
インテリジェンスとは情報のことで、「武器を使わない戦争」といわれる外交の背後で繰り広げられている情報戦に欠かせないものである。
真偽のほどはともかく、佐藤優によると、東京を含めた世界中のあらゆる都市で、ほとんどの要人の電話は盗聴されているという。重要なのは盗聴したものをどう評価し、分析するかである。
そこに「インフォメーション」ではなく、「インテリジェンス」としての情報の価値がある。
素材としてのインフォメーションを精査し、裏をとり、周到な分析を加えた情報が、インテリジェンスである。
アメリカのブッシュがイラクに戦争を仕掛けたとき、フセインが大量破壊兵器を隠していること、およびフセインがアルカイダと組んでいることの二つを根拠にしていた。
今となっては、どちらもデタラメであることが明らかとなったが、その背後にはさまざまな国や人物の活動があった。
アメリカもソ連と張り合っていたころは、情報力を重視していたが、冷戦終結後、唯一の超大国となってからは、最終的には圧倒的な軍事力で解決する気なので、かえって情報力を弱めているという。
アメリカのような超大国の情報力が弱まっているのが事実とすれば、この先、おなじようなことが起こることが考えられる。

0 件のコメント:

コメントを投稿