2009年12月23日水曜日

松岡正剛 17歳のための世界と日本の見方

セイゴオ先生の人間文化講義

2007 株式会社春秋社

1944年生まれ

「編集工学研究所所長」の著者は「編集工学」という言葉をつくった。
編集という言葉は、ふつう、「本や雑誌の編集」という意味で使われている。
著者は、この言葉を、もっと広い意味と深い作用を表す言葉として使っている。
つまり、人間の知覚や思考や表現のすべてにかかわる「新しい関係性を発見していく」ことである。 さらにそこに工学的な技術的かつ方法的なスキルやセンスをつけ加えたのが「編集工学」である。 著者は、「編集工学」を使って、さまざまな人間文化の成果を関係づけ、さらに新たな関係を発見していきたいと思っている。

人間文化がばらばらに発するメッセージのことを、「情報」と呼ぶ。
「インフォメーション」とは世の中のすべての外的情報をいい、「インテリジェンス」とは私たちの感覚や知覚にまつわる内的情報である。
情報は区別することによって見えてくるものであり、情報の本質は「区別力」にある。
区別した情報を、新たな視点でつないでいき、見方をさまざまに組み替えていくことによって、新しい関係が発見される。
「編集工学」は、そういう仕組みを奥深くまで分け入って研究する。
著者は、人間文化はすべて情報文化と呼ぶことができると考えており、人間文化のための活動の多くは「情報の編集」と捉えている。

ちなみに、人間文化の根っこのほうにあるのが、宗教である。
たとえば、キリスト教をみると、イエスは30歳くらいから35歳までのわずか5年ほどしか活動していない。 イエスの弟子は10人程度である。
それが、2000年後の今日、世界の大宗教となっている。
世界史上で活躍し大きな業績を残した人物も、活躍のピークが5年くらいということは、いくらでもある。
集中した5年の歳月と最初のコア・メンバー10人で、非常に大きなことができるというひとつの例である。

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