2008.4 株式会社青春出版社
1971年生まれ
著者は、日銀に勤めて広報などを担当していたことがある。
本書は、「元日銀マンが教える」というサブタイトルのようにニュースの「裏を読み取る楽しさ」を教えてくれる。
一般の人は、経済記事を読むときに、経済専門の新聞記者が書いていると思う。
そのため、大新聞の記事は、正しいものだと思い込みがちである。
ところが、著者によると、新聞記者は素人のサラリーマンで、配置転換によって移動している。新聞記者は、たとえば「日銀記者クラブ」や企業の広報からの情報に頼って記事を書いている。そのため、日銀や政府、大企業などがある種の情報操作を行って自分たちに都合のいい記事を流すこともできるのである。
それぞれの新聞社によって傾向があり、新聞記者も、なかなか思い切ったことは書けないらしい。始めのうちは、目立たない隅のほうの記事や、投書のような形で、新聞記者の本音が表れるのである。
しばしば、世間で騒がれるようになって、善悪がはっきりし、攻撃しても平気であることが分かってから悪事を追求することも多い。新聞記者も素人である場合が多いので自分で正しい判断をする自信がないのである。
そのことを、「時代劇でいえば、8時45分過ぎの水戸黄門です。印籠がでて、悪人が平伏してから、悪代官を縛り上げる役人と同じです。」とおもしろい表現を使っている。
また、新聞の一面で大々的に報道されるころには、すでに知れ渡っていることが多い。
最近では、新聞を無料のインターネット版の情報だけで済ます人も増えてきた。
しかし、ウェブ版では確実な事実しか載っていないことが多く、たしかに事実は重要ではあるが、記者の予想や見込みまでは載っていない。物事の真相、隠された事実、本質といったものを知るためには、有料の新聞も活用するのが賢明である。
それに、インターネットの情報は、あんがい情報量が限られているし、それほど早いわけでもない。
本当の情報を得ようと思ったならば、ただ待っているのではなく、自分から積極的に動いて手に入れることが必要である。たんに情報を受け取るだけでなく、裏から、横から、斜めから自分の目で見てみるのである。インターネットを活用して、いろいろな新聞社のサイト、情報の発信元、掲示板のうわさ話などを見ると本当の情報に触れることができる。
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