2007 株式会社文芸春秋
山形浩生訳
「われわれはいま、馬と蒸気機関の競争のような歴史的瞬間にいる。直観や経験に基づく専門技能がデータ分析に次々に負けているのだ。」(p20)
「絶対計算とは何だろうか。それは現実世界の意志決定を左右する統計分析だ。絶対計算による予測は、通常は規模、速度、影響力を兼ねそなえている。データ集合の規模はとんでもなくでかい。」(p20)
いまでは、あらゆるところにデータマイニングがある。検索エンジンのグーグルは、検索者が本当に見たいウェブページを見つけ出す。グーグルは個人検索機能を開発し、過去の検索履歴を使って、その人が本当に見たいものを抽出するようにしている。グーグルの「ページランク技術」は、「社会ネットワーク分析」と呼ばれるものの一種である。
絶対計算は、コンピューターの進歩により大量のデータを短時間に分析できるようになったことにより可能となった。また、専門家と絶対計算とがどちらが優秀かを比べると、ほとんど絶対計算が勝つ。その理由は、人間は感情や先入観に左右されがちで、大量の条件にうまく重みづけができないためである。それでも専門家の抵抗もあり、社会の専門家に寄せる愛着も大きい。
絶対計算が人間の裁量を奪い、人間の役割がなくなってしまうという批判がある。
現場の人間の地位はどんどん低下し、裁量を奪われてマニュアル通りの入力しかできない立場に追い込まれていくかもしれない。
絶対計算が政府や企業に利用され、個人のプライバシーはますますなくなっていく恐れもある。
これからは、一般の人も統計や数学の知識をある程度持つことが必要になる。
たとえば、平均値から上と下にそれぞれ標準偏差の2倍の範囲をとると全データの95%がはいるという程度の知識があると役に立つ。
経験や直観と統計分析(絶対計算)の知識とを相互に行き来させることで、ずっと先を見通すことができるという。
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