2009年10月2日金曜日

野口悠紀雄 世界経済危機 日本の罪と罰

2008.12 ダイヤモンド社

1940~

「日本は、『アメリカ発金融危機』の被害者などではない。
危機は世界的なマクロ経済の歪みが生んだものであり、
日本はその中心に位置している。
成長率がマイナス数%になるような、
未曾有の大不況が日本を襲う。
本書は、それに対する警告である。」(背表紙より)

世界を揺るがせた金融危機の主犯が、アメリカであることは間違いない。 ただし、じつはアメリカだけでは今回の金融危機を引き起こすことはできなかった。アメリカに資金を供給しつづけた日本、中国、産油国という共犯者がいたのである。
日本の「罪」とは、低コストの資金を世界(とくにアメリカ)にばら撒いたことである。それでは、「罰」とは何か。異常な円安が正常な水準に戻りつつあることによって、すでに、日本の対外資産に巨額の為替差損が発生していることがある。 さらに加えて、著者は、これから日本を未曾有の大不況が襲うと言う。 輸出企業の大幅な利益減と減産とは、関連企業の倒産、失業の増大をもたらす。 金融機関は不良債権が増大し、株価下落によって自己資本が減少する。 こうして、金融経済と実体経済が相互に影響し合いながら、不況がますます深まっていく。

これから起こるであろうことを現時点で正確に見通すことは難しい。
ただ、日本経済がかってない重大な試練に直面していることは、疑いがない。
日本では、バブル崩壊後、「失われた10年」さらには「失われた20年」と言われるような経済の低迷が続いた。その言葉の裏には「これだけがまんしたのだからもうそろそろ良くなってもいいはずだ」という感情が含まれている。しかしながら、著者も言うように、さらに深刻な経済の停滞が追い打ちをかけてこないという保証はない。

このような時代にあっては、いままでのやり方は通用しない。
危機を積極的にチャンスととらえ、社会の仕組みを変えていくことができるかどうかに日本の今後が掛かっていると著者は言う。

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