2008.12 株式会社光文社
1955年生まれ 元内閣参事官
著者は、日本経済の先行き不安の原因は、一般に言われているようにサブプライム問題ではなく、日銀が2006年から2007年にかけて金融引き締めをしたためだと言う。
「つまり、日本経済は07年から景気が悪化しており、現在もそれが続いているわけです。それが証拠に、サブプライムローン破綻による日本の被害金額は1兆~2兆円にすぎず、欧米とは桁が二つも違うにもかかわらず、今回の世界金融危機では、日本株が最も値を下げています。」(p8)
したがって、著者は景気を良くするためには、金融緩和を行うべきだと主張している。
2006年3月に日銀が量的緩和政策を解除し、7月に誘導金利を引き上げたのが2007年中ごろからの景気悪化の原因であるというのである。
日本の景気が悪化したのは、アメリカの金融危機に始まった世界同時不況が原因であるというのが、世間の常識的な見方だと思うが、著者の意見は、日銀の金融政策のみに偏っているように見え、日銀悪玉論に近い記述になっている。
金融政策は行ってからその効果が現れるまでに、かなりの時間がかかるため、多くの人が金融政策の効果を軽くみているのだという。
わずか0.1~0.2%の金利を上げたり下げたりするだけでは景気にたいした影響はないという説もいっぽうではある。
それでも、著者の説は、アメリカにおけるバーナンキなどの金融恐慌に関する最新の理論にもとづいているという。
最後に、著者は、今の日本経済の危機を救うためには、金融・財政のフル稼働で、25兆円の量的緩和と、25兆円の政府通貨発行をすべきだと書いている。
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