2009 ダイヤモンド社
1953年生まれ
著者の主張は、一般的とは言えないが、ひとつの見識である。
高度成長期は、だれにでもチャンスがあり、一生懸命働けば報われるという希望があったが、今は正社員という椅子にすわっている老人が、ずっとそれにしがみつき、そこからあぶれた若者は一生フリーターとして漂流しそうである。
日本が直面しているのは、循環的な不況ではなく、成長から停滞、そして衰退へという大きな変化である。
日本は、やがて、落ち着いた、しかし格差の固定した階級社会になるだろう。
明日は今日よりもよくなるという希望を捨てる勇気をもち、あきらめればそれもいいのかもしれない。
そのうち景気が良くなるかのような希望を持って、長期停滞が続くままにしておけば、そのようになるだろう。
いま日本に足りないのは希望ではなく、変えなければ未来がないという絶望ではないだろうか。
日本的経営の特徴とされてきた終身雇用、年功序列、企業別組合とは、戦時中の統制計画経済から始まったものである。
このような日本的経営が行き詰まっているのであれば、それを変えるしかない。
労働者は弱いという前提で、戦後の制度は作られているが、労働組合は強く、解雇は容易ではない。
経営者の役割は、利益をだして、会社を成長させることにあり、雇用を守ることではないはずである。それが、従業員を解雇しようとする経営者にたいして世間の目や裁判所が厳しくなって、うっかり解雇できなくなった。そのため、経営者は、新規の雇用に慎重にならざるをえなくなり、新卒を採用しないで非正社員に替えるようになった。
これが、若者が就職できない理由のひとつである。
経営者は、もっと容易に従業員を解雇できるようにし、そのかわり人材を流動化して、転職を容易にするべきである。
終身雇用、年功序列の慣習をやめ、ろくな仕事もしないで高給をとっている高齢者を企業からはやく出さなければならない。
すべての人にチャンスがあり、努力すれば報われるという希望を取り戻し、活気ある社会にしなければならない。
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