2011年4月16日土曜日

逢沢明 京大式ロジカルシンキング

2003 株式会社サンマーク出版

「議論に強くなりたい、説得力のある話し方ができるようになりたい、そのためには論理が必要である」と考える人は多い。
だが、それは相手が論理に理解を示してくれる場合である。
じっさいには、しばしば、相手は論理を理解できなかったり、論理を無視してかかってくる。このような人と議論するときには、噛んで含めるように説明し、何を議論しているのか、つねに明らかにしなければならない。
道理が通じない相手のばあい、ときには、相手の言うことを単にがまんして30分程度聞いてあげるという方法が効果的である。あいづちを打って聞いているうちに、相手は自分で自分の言葉に納得して、こちらを友達のように思い始めてくれたりすることもある。
決して強弁を曲げない相手であれば、聴衆などの第三者にたいしてアピールするとか、相手の議論の細部を攻めるとか、相手の知らなさそうな単語を言って相手の思考を停止させるというテクニックもある。
いろいろな論争術があるけれども、人は、論理で動くとは限らないので、人を動かすのは非常に難しい。
広い意味では、人は利害関係によって動くと思われるが、利害関係とは、単に経済的なものばかりではなく、感情的なものや、社会的なものも含まれる。
それならば、人を説得しようなどとめんどくさいことを試みるより、いっそのこと、人とつきあわない方が簡単だと思えてくる。

かって、京都学派では、たくさんの仲間を集め、徹底的に議論することによって、独創的な研究をすすめたそうである。
たがいの意見を戦わせた結果、より高いアイデアに到達できるとすれば、それは理想的であろう。
この点で、ブレーンストーミングという方法は、自由に意見を述べることを重視する。
しかし、その気になって自由に意見を述べ上司などを論破すると、恨まれて、後で仕返しされるということも現実にはよくあることではないだろうか。

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