2013年2月2日土曜日

ローレンス・J・ピーター+レイモンド・ハル ピーターの法則


2003 ダイヤモンド社

渡辺伸也訳

「ピーターの法則」とは、階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達するというもので、やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められ、仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行われるという。
人の行動は、役所や企業のように、大勢の人が集まって何かをすることが多い。
大勢の人が集まってなにかをするには、階層構造による組織を作らざるを得ない。
階層構造の下位から上位にあがっていくことを「昇進」と呼ぶ。
ここで、階層ごとに異なる能力が要求されている。
もし、公正な評価がされているとすれば、実務担当者として優れた仕事をした人が選ばれて上位の階層に進むが、上位の階層に進むたびに異なる能力が要求されるため、適応できなくなったときに昇進が止まる。
つまり、下から進んで、あるレベルで無能となった人がその地位にとどまるので、いつのまにか組織はそれぞれの地位について無能な人ばかりになってしまうのである。
若いころ、会社の社長とか専務・常務などの肩書きを持った人は、自分よりずっと能力があるように考えていたが、今から見ると、実はたいしたことはなかったのではないかと思えてくる。
社長とか専務とか威張っていたところで、実際の仕事は、下の者が行っていたらしい。
組織のトップになったら、せめて、秘書にまかせてあるとか部下にまかせてあるなどと言わないでもらいたいものである。
「ピーターの法則」が社会全体に当てはまるとすれば、われわれの社会も上に行くほど無能になる。
政治の世界でも、いちばん下の議員は、毎日、街頭演説をし、有権者の一人一人と握手したり話したりして選ばれる。
議員は、政党という組織に属し、さまざまなテクニックを駆使しながら政党組織の階層をのぼっていく。
人の能力は限られているから、こうしてトップになった人が、ほんとうに国を率いたり、外国のトップと渡り合うのにふさわしい能力まで身につけているとは限らないのである。

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