2012年5月1日火曜日
マークJ.ぺン/E.キニー・ザレスン マイクロトレンド
吉田晋治 訳
2008 日本放送出版協会
私たちは、選択肢が氾濫する世界に生きている。人生のあらゆる場面で、かってないほど幅広い選択肢のなかから自由に選択している。
今では、巨大な影響力をもつ「メガトレンド」は、ほとんど存在しない。
だれもが夢中になるような巨大な影響力をもつ「トレンド」は存在せず、その代わり、いくつもの「マイクロトレンド」が生まれている。
「マイクロトレンド」とは、小さな動きが大きな「トレンド」になっていくのではなく、目立たない小さな動きが、社会を形作るのに大きな影響を及ぼすことである。
たとえば、次のような「マイクロトレンド」がある。
結婚しない人が増えた。
50代、60代で子育てをする人がいる。
独身男性より、独身女性のほうが住宅を買う。
仕事を家でする人が増えた。
学校にいかない子供が増えた。
定年後も働く高齢者が増えた。
親の介護をする男性が増えた。
質素な暮らしをする富裕層が増えた。
いまの社会は多様化していて、他人と違うことをする人に対して寛容になっている。その結果、いろいろな社会現象が現れる。
しかし、それらが「マイクロトレンド」と呼べるかどうかは、また別である。
それでも、小さな「トレンド」が無数に生まれて、世の中を変えていくという考えには、それなりの説得力がある。
大きな「トレンド」だけ見ていると、未来予測を誤りかねない。少子高齢化という大きな「トレンド」からは、年金制度の崩壊が予測されるが、定年後も働く高齢者が増えれば、年金制度は破綻しないかもしれない。
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