2007 株式会社洋泉社
1947年生まれ
高度経済成長期には、まじめに働いていさえすれば、大多数の人の生活がどんどん豊かになっていった。しかし、これからの時代は油断しているといつなんどき下流に突き落とされるかわからない。
「格差突破力」を身につけることが不可欠である。
われわれ普通の人間は、ほんの一握りの英雄や異能の人の生き方に幻想をもつのではなく、もっと普通の人にふさわしい生き方に回帰したほうがよいのではないか。
多くの普通の人々は、平凡でよいから充実した幸せな人生を歩みたいと願っている。
「充実」とは、自分が夢中になれる仕事や趣味を持つことである。
「幸せ」とは、争いが少なく、愛が多い生活のことである。
そのためには、名誉や地位、お金の多い少ないは関係がない。無名で偉くもなく、名誉もなく、金持ちでもないけれど、それなりに豊かな生活を送ることができた中間層の人々の中にこそ、充実した幸せな人生を送ることができた人々が多いのである。
格差社会を勝ち抜いて、中間層の暮らしを確保するためには、時代のトレンドを読みながら自分の生き方を定めていかなければならない。
では、近未来の日本のトレンドは、どのようなものか。
本書の予測は、悲観的な予測であり、日本の衰退は避けられないという立場に立っている。
このような時代には、大きすぎる野心は危険である。
地道に足元を固めて、マイペースで地歩を築いていかねばならない。
具体的には、自分の向き不向きを見極めて、自分の向いている分野を発見できたら、それを食えるスキルにまて高めるよう地道に努力することである。
自分の向き不向きを見極めることは、簡単なようで意外に難しい。
向き不向きが見えない、やることがわからない、夢はあるけれど、とても実現できそうにない。このような人は、とりあえずビジネスパーソンを目指すべきである。
契約社員でも派遣社員でもいいから企業にもぐりこんで、そこで努力して実績を上げ、人脈を築いて正社員を目指すのである。
とにかく、企業や役所の組織にもぐりこんで、そこで仕事を覚え、人脈を作り、ひたすらお金をためてそれを安全確実に増やすことを考える。
いまどき、株で儲けたという話も聞かず、不動産価格は下がり、金利はつかない。もうけ話は、詐欺だと思って間違いない。
したがって、中間層にとどまるためには、なるべく大きな組織に属し、がんばって少しでも給料を増やし、できるだけ長く組織に留まるのが合理的である。
それでも、日本の近未来は、いくらがんばっても中流の暮らしさえ維持できないという可能性は捨てきれない。
このようなときは家族の誰かが繁栄している外国で働き、外貨の仕送りで家計を助けるという選択肢も現実味を帯びてくる。
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