2015 角川文庫
岡本太郎は、一筋縄ではいかない。
美術とは美を追求するものであるかといえば、岡本太郎にとっては、そうではない。
ただ美しいだけでは、単なる装飾にすぎず、つまらない。
岡本太郎は芸術は呪術に似ていると言う。
芸術は、相手に好かれ受け入れられるのではなく、呪術的エネルギーによって相手をとらえてしまうものである。
そのためには、芸術家は、作品を見せると同時に、隠すという困難な作業を行う。
仏教寺院には、秘仏というものがある。
秘仏は、隠して見せないから御利益があるのだが、一方では、隠したままでは、それがあることを人々が知ることはない。
誰も知らなければ、ないのと変わらない。
人々が、それがあることを知っていて、なおかつ見せないから力が増すのである。
ただ、実際に見てしまったらありがたみがなくなるのかどうかは、わからないが。
そこら辺の微妙なところが、芸術と似ていると言えば似ている。
言葉では矛盾するが、見せて見せないことが、芸術の極意である。
「優れた芸術には永遠にフレッシュな感動がある。それは永遠に己れをわたさないからだ。その拒否、秘密がなければ、純粋ではあり得ない。
秘密即純粋なのだ。つまりそれは見せていると同時に見せないことなのである。」
岡本太郎がイメージするのは、指し示す一本の腕である。
最近、投稿が復活されたようで、嬉しく思います。
返信削除引き続き、読者を楽しませて下さい。