2014 株式会社幻冬舎
政治家が靖国神社へ参拝するとき、「国のために命を捧げた英霊に対し尊崇の念を表すため」と言うが、何が問題になるのだろうか。
まず、靖国神社には戊辰戦争での「官軍」に所属していた者だけが祀られているので、「賊軍」側の怨念がいまだに解消されていない。
つぎに、靖国神社にはA級戦犯が祀られている。A級戦犯とは、東京裁判において東条英機など戦争指導者とされた者である。
東京裁判の背景にある歴史観は、あの戦争に対する責任は、日本人全体にあるのではなく、一部の軍国主義者にあるというものである。
一部の軍国主義者が国民を誤った方向に導いたのだから、彼らは戦争責任を負う「犯罪者」であるという見方である。
こうした歴史観は、アメリカ、中国ともに共通しており、日本もサンフランシスコ講和条約で認めたことになっている。
それならば、「犯罪者」を祀った靖国神社に、政治家とりわけ総理大臣が参拝するのは許されないということになる。
それに、今では政治と宗教は切り離されているのだから、総理大臣が神社に参拝するというのはおかしいのである。
それでも政治家が靖国神社へ参拝したがるのは、彼らを支持する人たちがいるからである。
主に、戦没者遺族や旧軍関係者などであろう。
彼らは、東京裁判も認めず、あの戦争が侵略戦争だったということも認めようとしない。
ただ、戦没者遺族にしても、旧軍関係者にしても、非常に高齢化しており、人数も減っていくばかりである。
政治家にしても、支持者が減っていくのに、わざわざ靖国神社へあえて参拝する理由もなくなっていく。
このまま戦争もなく、靖国神社関係者も騒がなければ、それほど話題に上ることもなくなるのかもしれない。
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