2012年12月23日日曜日

藪中三十二 国家の命運


2010 株式会社新潮社

20年ほど前、「NOと言える日本」という本がベストセラーになったことがある。
日本はアメリカに対してNOと言える国になるべきだというわけである。
しかし、著者によると、「NOと言えない日本」も「NOと言える日本」も、相手の要求を待ってから答えるという受け身の姿勢に変わりはない。
アメリカに言われてから対応するのではなく、独自の考え方で、どうするべきか考えるのが大国としての姿勢であるが、残念ながら、日本の状況はそうはなっていない。
このような日本の態度は、ペリーが幕末にやってきた時と同じである。
日本は、外圧に弱いとよく言われているが、その理由のひとつは、日本人はアメリカが日本をどう思っているのだろうかと常に気にかけているためである。
そのため、日本の政治家は、世論に押されて、アメリカの圧力に負けてしまう。
相手から要求されてから動くのではなく、自分から動くようにならないと、日本の利益にはならない。
日本の高度成長期には、日本経済は日の出の勢いで、それとは対照的にアメリカ経済は自信喪失の状況にあった。そこで、アメリカは日本に対する巨額の貿易赤字の原因は日本市場の閉鎖性にある、日本が市場を開放しないなら対日制裁をせざるをえないと主張するようになった。
「日本異質論」が出てきて、日本に構造改革を迫ってきた。
日米構造協議のなかで、日本は公共投資のために莫大な財政支出を約束させられ、その後、日本の財政赤字は膨らんでいった。

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