2012年11月20日火曜日
田中尚輝 団塊シニアだから成功する! NPOビジネス
2006 学陽書房
「団塊の世代」は、どうも分が悪い。
前の世代のように、日本の経済成長を担ってきたというほどの自覚はないのだが、後の世代に比べれば日本の経済成長の恩恵を受けているからである。
退職後も十分な年金を受け取るわけでもなく、それでも、わずかな年金を受け取るのは権利だと思っていたところ、若い世代からは、年金を返してもらいたいなどど平気で言われる始末である。
じっさい、65歳以上は高齢者だといっても、65歳は、まだまだ若く元気である。
従来は、65歳以上になれば、働く場所もなかったのであるが、最近は事情が変わってきたらしい。
日本は、すでに超高齢社会になっており、高齢者のなかでも、80歳以上の長寿者と65歳以上の元気な高齢者に分けることができる。
そこで、元気な高齢者が弱った長寿者を助ける仕事がいくらでもあるようなのである。
昔は、長寿者を助けるのは、家族の役割であったが、いまでは、かっての家族は分裂してしまい、孤独な老人が増えている。
長寿者を助けるのは、社会や地域の役割になりつつある。
元気な高齢者が、NPO法人を作って、さまざまな社会活動をしようとする動きが活発になっている。
今後急速に拡大すると予想されるのが、「移動サービス」である。移動を自力でできない要介護者が病院や買い物、墓参り、などに行くのをサポートする仕事である。以前は、こうした行為は「道路運送法」に規定する「白タク行為」にあたり、法律違反であったが、2006年に道路運送法が改正になり、運送事業者が非営利法人であることなどを条件に、白ナンバーによる福祉有償運送が許可されるようになった。
おなじようなサービスが、地域のデリバリーサービスや御用聞きサービスである。
かっては、千代田区や港区のような都心は、あこがれの住宅地であった。
いまでは、都心は、人口が過疎化しており、商店街もないか、あっても離れたところにしかない。
こういう地域に住んでいる一人暮らしの高齢者に商品を届けたり、ゴミを出したり、「便利屋サービス」の需要も多い。
ただし、NPO法人は、収益を目的とするものではなく、これで儲けようというわけにはいかない。
もし、儲かるということになれば、若い人がやりだして、年寄は締め出されることになるだろう。
2012年11月19日月曜日
繁桝算男 後悔しない意思決定
2007 株式会社岩波書店
意思決定をする際にさんざん悩み、しかも、決定した後で悔やむ人は多い。本書は、そのような人のために書かれた。
本書の立場は、「主観的期待効用モデル」に立脚している。
それによると、どのような意思決定においても、主観的に算定した「期待効用」を最大にするような選択肢を選べということになる。
「主観的期待効用」という言葉は、統計学で用いられている専門用語であるが、意思決定に際しては、最後には二つの選択肢のうちから一つを選ぶことに行き着く。
どちらを選ぶかは自分で考え、良いことが起こる可能性が高いほうを選べということである。
自分で納得して意思決定したのであれば、たとえ失敗したとしても、後悔はしないはずである。
織田信長は、桶狭間の戦いで、今川義元の首をとって大勝利を納めた。このときの信長の意思決定を考えよう。
信長は今川の大軍に対して積極的な戦いをする選択肢とともに、城に立てこもって戦いを避けるという選択肢もあった。
このとき、信長は、少数の軍勢で、今川の大軍を攻撃するほうを選んだ。
このような信長の意思決定は、信長の価値観からすれば、迷う必要のない決定であった。
信長は、「主観的期待効用」の、より大きな選択肢を選んだのである。
織田信長のような大胆な人物は、桶狭間の戦いのようなすばらしい成果を勝ち取ることができる。
しかし、おなじ大胆さが、少数の軍勢だけで本能寺に滞在して、明智光秀に攻撃される隙をつくることになった。
それでも、織田信長のような人物は、自分できめた行動については、けっして後悔はしないのであろう。
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